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レイディ・メイディ 64-6
2008.09.06 |Category …レイメイ 64話
冴牙「アイツの顔、見たことあんのか?」
リク「……いや……」
クロエ「…………」
冴牙「醜いったらねーぜ? おシズ捕らえたら見せてやるよ。アレを見たら、引くだろうなぁ。引いたらシズはさぞ恥じるだろうなぁ。はははははっ」
リク・クロエ「…………」
遠くに、野営の火が見えた。
エグランタイン公爵領に入る手前の険しい山中だ。
相手は自分が来ることをわかっている。
だからこそ火も平気で燃しているのだ。
人質は無事らしい。案内役の蝶を握りつぶして、ひとまずほっと息をつく。
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レイディ・メイディ 64-5
2008.09.05 |Category …レイメイ 64話
リク『ダメだ。トイレくらいじゃあんまり話ができない……』
戻る最中に見た感じでは、シノブ、オハツ、ゴロクの他に巨漢一人と癖の強い長髪の小柄男一人、それにローゼリッタの人間らしき者が二人。
合計七人がいた。
場所はわからない。
とにかくどこかの山の中だということくらいしか。
そう遠くないところに沢があるようだ。水の音がする。
用を足して戻るとクロエと共に木の幹にくくりつけられた。
木でできた粗末なお椀にお粥を注いだものを渡される。
レイディ・メイディ 64-4
2008.09.05 |Category …レイメイ 64話
馬を駆った。
夜も休まずにやがて次の日が昇っても。
一方、偲の狂言に引っかかってしまったリクとクロエは縄で縛られ、その上、魔封じの術をかけられて馬車に揺られていた。
二人とも、大事な話というエサと偲が弟に別れも告げずに去るというので引きとめるために、養成所を離れた城下町まで養成所から出発する馬車に乗り込んでしまったのである。
城下町に到着し、偲に連れられて裏路地へ。
そこで大量の蝶に襲われた。
後の記憶はない。
気がつけば、知らない荷馬車の中で揺られており、捉えられたのだと気がついたが後の祭り。
黒髪の美女がそっと二人に水を差し出す。
もちろん、手は縛られて動けないのでカップで少しずつ飲ませてくれている。
レイディ・メイディ 64-3
2008.09.05 |Category …レイメイ 64話
人形「来ておくれか?」
リク「は、はい!」
アン「リッ……」
リク「ごめんね、アン。すぐに戻るから!」
アン「リク君!」
偲「…………」
冷めた目でアンを一瞥すると偲はリクを連れ去った。
……クロエを連れ去ったように。
レイディ・メイディ 64-2
2008.09.05 |Category …レイメイ 64話
リク「あー、なんかおなか減ってきちゃったなぁ」
手を引いた流れで身体をうんと伸ばし、大あくびをする。
一瞬、アンの表情がこわばったが、どうやらごまかせたようだ。
腹が減ったという要求を待っていましたというように横の椅子にちょこんと座らせていたバスケットを持ち上げて見せる。
アン「サンドウィッチ作ってきたの。薔薇園で食べましょ」
リク「わぁ、やったね」
ぱちんと両手を合わせて嬉しそうな表情を作る。
レイディ・メイディ 第64話
2008.09.05 |Category …レイメイ 64話
第64話:狂う刃
図書室で勉強を教えてもらう、図書館デートが多い。
好きな人に少しでも釣合いたいがためにアンは努力をしている……のが前向きで、実のところ優しく教えてもらうのが好きだった。
目の前に座って、理解できないところを説明しくれるときには、少し前かがみになって顔が近くなる。
ウットリできる瞬間である。
長いまつげに縁取られたミステリアスな紅の瞳。
はっきりとした目鼻立ち。
さらりと流れる艶めく前髪……
何て自分は幸せなのだろう。
この世に数いる女の子の中で一番の幸福を手に入れた。
天界から舞い降りた美の神のように美しいこの人が、自分だけの虜になってくれたら……
私だけを見てくれたなら……