薔薇騎士ドリーム。

　廊下を颯爽と歩いてくる麗微明日（レヴィアス）。

　そこへ狩覇斬（カルハザン）学園から、編入してきたエリート歯医者の息子・診歯医留が声をかける。

 

診歯医留（ミハイル）「やあ、麗微明日クン。今日もなんて美しいアゴなんだ」

レヴィアス「ウォッホン。いやだわ、診歯医留クンったら。か・ら・か・わ・な・い・で☆」

ミハイル「からかってなんていやしね……ないさ」

レヴィアス「ドュッフフフ」

 

　イチャコラしているところをミハイルに片思いの鎮が目撃！

　悔しさのあまりに手ぬぐいを食いちぎる。

 

鎮「ふん、何でござるわよ、あんな女！　黒薔薇の貴婦人はこの拙者！　氷鎖女　鎮でござるわ」

李紅（リク）「そうよ、お姉様！　あんなアゴ、へし折ってあげればいいのよ！」

　　　　　　『……ハ！　そうだわ。階段から突き落としてアゴを骨折させれば、いくらなんでももう人前には出られないはず……！　これで鎮お姉さまが皆のアイドルよ！！』

鎮「あっ、李紅！　どこに行くの！？」

李紅「待っていらして、お姉様！　宇宙を手にお入れ下さい！」

鎮「まぁどうしましょ！　意味がわからないわ！」

 

　レヴィアスが独りになったところをリクが踊りかかる！

 

レヴィアス「あーれー！」

 

　階段から転がり落ちるレヴィアス。

 

……ゴキッ！

 

李紅「やった……やったわ！　イカして素敵なロングアゴーンも木っ端微塵ね！　ざまぁみなさい、レヴィアス！」

レヴィアス「うっ、うっ……何でこんなことをするのかね」

李紅「わかりきったことよ。これからはお姉様が黒薔薇伝説を引き継ぐの。おわかりかしら。可哀想なミス・アゴーン。美アゴコンテストに選ばれたくらいでお高くとまっているのがいけないのよ。お姉様が影でどれだけ努力してアゴを伸ばそうとしていたか、貴女にはわからないのだわ。生まれついての美アゴの持ち主にはね」

レヴィアス「貴女……それでいいの？　こんなことして貴女の敬愛する先輩がアタシに勝ってそれでいいとでも言うのかね？　だわ」

李紅「……なんとでもおっしゃいな。私はあのお方の影！　あのお方の望むことならなんでもして差し上げるわ！　例えこの身が円の動きでバターになってしまったとしても！」

レヴィアス「……貴女……もしかして……」

 

　そこへミハイルが駆けつける。

 

ミハイル「レヴィアス！！　どうしたんだ、しっかりするんだ！！」

レヴィアス「平気よ。ちょっと転んだだけ」

李紅「…………」

ミハイル「君は、鎮の妹分だな！　さては……」

レヴィアス「違うの！　アタシがぼーっとしてて、つまずいてしまっただけなのだよ。彼女はそんなアタシを心配して付き添ってくれていただけ」

李紅「！！」

　　『なんてこと！　私の悪行を許して尚且つかばってくれるなんて……！　なんて大海原な心の広いお方なのだろう！！　私が悪かったのだわ。こんな素敵な人に刃を向けるなんて！　そうだ、お姉さまにもわかってもらわなくちゃ。彼女はアゴが美しいだけじゃないのよ。心が……その美しい心がアゴを際立たせているのだということが今わかったの！』

 

　ダバサー。走り去る李紅。

 

レヴィアス『わかって……くれたの……ね』　ガクッ。

ミハイル「レヴィアス！　レヴィアース！！」

　　　　『僕だってエリート歯医者の卵なんだ！　歯とは違うが、きっと君のアゴを救ってみせるぞ……！』

　　　　「オペの……オペの用意だ！！」

 
 

…………………………。

 

　薔薇の騎士団養成所・職員室。

ヴァルト「……という夢を昨日見た」

ナーダ「またアンタかいっ！？」

レヴィアス「私がヒロインかね？　照れますな」

鎮『美アゴ……』

ミハイル「どっちにモテてもちっとも嬉しくねー！！」