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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 58-6

氷鎖女「ま、あれだ。そちらがおらぬようになって急に色々とこう……激しくなったのでござるよ。甘えが」
メイディア「ワタクシがいなくなったせいではありません。恐らく、お手紙のせいです」
 
 ふざけるのをやめて真顔になる。
 
氷鎖女「手紙?」
メイディア「彼のご家族はワタクシの家庭教師に殺害されておりますの」
氷鎖女「……………」
メイディア「そのことを嫁に行く前に報告しました。これを言うとワタクシも首を切られてしまいますが、もういいと思って」
氷鎖女「そんな約束はもう気にするでない」

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レイディ・メイディ 58-5

リク「……他に探せって……そういうことなのかなと思って」
レク「フラレたって……だ……誰に?」
 
 女の子達の憧れの的、絶世の美男子、優しくて強くて頭の良い、非の打ちどころのない彼を振ったというのはどこのどんな令嬢であろうか!?
 さすがのレクも絶句して次の言葉が出て来ない。
 朝からドッキリ情報だ。
 ほとんどルームメイトの会話に交ざってこないクレスも驚いてベッドから跳ね起きた。
 
クレス「フラレたってマジでっ!? 誰!?」
リク「うーん………先生に……」
レク「……………念のために聞くけど、ナーダ先生だよ…ね?」
リク「ヒサメ先生」
レク・クレス「……………………………」
 
 二人、期待外れだったような顔をして目配せをする。
 てっきり恋愛ゴシップだと思っていたのに、どうやら違ったようだ。
 

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レイディ・メイディ 58-4

リク「中身が……ないっていうか……」
氷鎖女「外身があるからよかろ」
 
 あっさり。
 
リク「そ、そういう問題じゃ……。俺、何も感じないのにそんなんで付き合ったりしたら、相手に悪いよ」
氷鎖女「ほぅ。何も感じない? さては真になるしすとだったか」
リク「………ナルシストって……誰に聞いたの、そんなこと」
氷鎖女「カイル」
リク「……やっぱり」 がくーっ。
氷鎖女「夜な夜な鏡に映った自分をうっとり眺めておるとか。自分に恋煩いで最近調子が悪いとか」
リク「ご、誤解だよ。そんなことしないし、そんなんで言ってるんじゃなくて……」
氷鎖女「ならば、もっと他に目を向けなされ」
リク「他にって………先生じゃ……いけないのかな?」

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レイディ・メイディ 58-3

リク「……………」
氷鎖女「とっ、とにかくダメ」
リク「……そんなに、ダメ?」
氷鎖女「ダメ」
リク「ひょっとして、俺がダメでそんなふうに言ってるの?」
氷鎖女「そ…そうではない……けど、人を連れてくるとあの生き物が容赦なく責め立ててくるので、拙者が可哀想なことに……」 ガタブル。
リク「可哀想って自分で言っちゃう」
氷鎖女「だって家主なのに何故か立場が弱っちぃのだもの」
 
 一体、何を飼っているのか、この先生。
 

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レイディ・メイディ 58-2

 氷鎖女は実際に家では泣いてばかりだと言いかけてやめた。
 メイディアが助かったことは、本人たっての希望で内緒なのだ。
 
リク「……そうだね」
氷鎖女『………………』
リク「折れるときは………簡単なんだ」
氷鎖女「誰でも同じでござろ」
リク「追い詰められて……悲嘆にくれて身投げされるのなら、いっそあの日、一緒に崖から落ちても良かったかな。……ふふっ。なんてね」
氷鎖女「心中か? 割かし、浪漫ちすとなのでござるな」
リク「……冗談だよ。俺とじゃ、メイディが気の毒だ」
 
 自嘲気味に笑う。
 

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レイディ・メイディ 第58話

第58話:幸せ未来予想図と悲劇のマリアンヌ。

 家族が惨殺されて彼は一人きりになった。

 その後、貴族に引き取られるも愛玩具としてで、いくらもいないうちにすぐに逃げ出し、日雇いの仕事でなんとか食いつないでいる内に、とある神父と出会った。

 彼を師として少しだけ剣術と魔術を習い、養成所に行くよう勧められ、今に至る。

 養成所では衣食住がそろっており、生きて行くための技術も身につく。

 出所後は軍に所属することになり、人生が保証されたも同じである。

 だから、神父はここに行くことを強く推したのだ。

 訓練がどれほど厳しくても、飢餓に脅かされない生活を思えば楽なものだった。

 薔薇の騎士を目指して門を叩くのは、純粋に薔薇の騎士に憧れを抱く者、継ぐ爵位のない貴族の次男以下、そして身寄りのない、または日々の生活に困窮する貧しい子供達がほとんどだ。

 平均的なレベルの生活を送る者たちは、まずこない。

 だいたい、親が許さないだろう。

 家の手伝いもしないで何が騎士だと。

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