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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 30-5

アン「……な、何て言ったの、今?」

リク「今ならあの窪みに戻れるから、行ってくれないかって言ったんだ」

アン「そんな、無理よ!」

リク「ヒステリックにならないで。大丈夫。落ち着いて。できるから。でないと俺も死んじゃうんだよね」

 

 人事のように言う。

 そんな風に言われたら、挑戦しないワケにもいかない。

 震えながらもようやっとうなづいて、アンはリクの体を踏み台に先程までいた窪みを目指す。

 

リク「う」

 

 アンの足が肩に食い込んで、低く呻いた。

 心の痛みは感じないくせに、肉体の物理的な痛みだけはいっぱしに感じるのだから嫌になる。

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レイディ・メイディ 30-4

リク『うーん、落ちるな、コレは』

 

 誰も現実を見ない中でリクだけがどうしようもなく冷静だった。

 こんなときに何を落ち着いているのか。自分でも神経を疑う。

 あと数分……いや、下手をすれば数秒後にはこの腕も力つきてしまうだろう。

 そうすれば重力に従って、落下するだけ。

命尽きるまであっと言う間だ。

 まだ殺された両親と妹のカタキさえ討てていないのに。

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レイディ・メイディ 30-3

 彼女の中で万能なリクは崖っぷちでもヒロインを背負って上まで登りきる屈強の男だった。

 ……が、実際にはまったくもってそんなことはない。

体力も力もお世辞にもある方とは言えない。

 ひ弱なワケではないけれど、人間一人を背負って急な崖を登ることなど不可能だ。

 しっかりした足場で背負い、さらにロープがあればなんとかなっただろうが、今は古木の破片とちょっとした表面の凸凹に頼った非常に頼りない状態にある。

 ずっしりと二人分の体重を支えきれずに手を置いていた土の出っ張りがくずれた。

 同時に古木にかけていたもう片方の手も外れてしまう。

 

アン「キャアッ!」

リク「うわっ!」

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レイディ・メイディ 30-2

アン「リク君……」

リク「待って、あわてないで。今…………」

 

 足をかける場所を探し、慎重に、少しずつ下る。

 

アン「来てくれたの!?」

 

 嬉しそうに手を伸ばす。

 

リク「ケガは?」

アン「……擦り傷だけ」

 

 はにかんで答える。

 

リク「よかった」

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レイディ・メイディ 第30話

第30話:勇気、ヒトカケ。

 メンバーがステラの声を聞いたとき、一行少し間を置いてついてきていたリクとメイディアは、別の声を聞いていた。

 皆が見つけたと先を急ぎ出すと、ついていこうと少しあせったメイディアがまたも転倒してしまい、さらに距離広がる。

 

リク「あわてると転んで余計体力を使うし、体力を消耗すれば注意力も鈍ってまた転ぶ。急ぐなら、あせらない方がいいね、メイディ。皆に任せよう」

 

 手を差し伸べて、助け起こす。

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