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レイディ・メイディ 31-11
2008.04.17 |Category …レイメイ 31・32話
現在は養成所でおとなしく生徒達のオモチャになっているけれど、本当のところ、人殺しで盗っ人で軽薄だ。
他者の命に重みを感じられず、奪うことにためらいがない。
試験中に捕虜を殺そうとして、クロエに半ば絶望的な瞳で見つめられてしまうような人間なのだ。
他人様から慕われるような人間では決してない。
だから戸惑う。
変に懐いてくるリクやクロエに。
自分は慕われるような人間ではないのに…………
けれど氷鎖女とてリクの気持ちはわからなくはなかった。
自分だって同郷の匂いを感じれば懐かしくて寄っていきたくなる。
好きで故郷を離れたわけではなかったから尚更。
チェスではない将棋だって、今目の前に相手がいてくれて嬉しいのだから。
そういう心理もあって、リクが自分に父の影を重ねたいのなら、しばらくはそのまま放っておいてもよいと思っていた。
レイディ・メイディ 31-10
2008.04.16 |Category …レイメイ 31・32話
案外と素直に氷鎖女もうなづいた。
初めからそう言えばいいものを。
けれど、リクにとってはこれも大事なコミニュケーションの一つなのである。
ただ単に楽しんでいるだけとも言うが、…………そう、楽しいのだ。
こうしてじゃれあうのも。
それから、彼は将棋も好きだ。
かつて父が幼いリクに教えてくれた、奥の深いこのゲーム。
その将棋をしながら、この先生の話を聞くのが好きだった。
あの玩具箱のようなカラクリ部屋も。
リク「ヒサメハンター☆クロエは去った!」
氷鎖女「手前もだ」
レイディ・メイディ 31-9
2008.04.16 |Category …レイメイ 31・32話
美形台無しのこの行為も、1年も経つと妙に見慣れるもので、廊下を行く学徒たちは、「またチビ子先生泣かしてるよ」で済ませてしまう。
むしろ毎日繰り広げられるこの光景を楽しんでいる連中も多かったりして。
チビ子先生が逃げ切れるのか、はたまたリクの地獄の円舞殺法の前にひれ伏すのか。
はたまた第三の勢力、
クロエ「ああーっ!?」
妄想族・クロエが油揚げを掻っ攫うのか。
後から走ってきたクロエが叫ぶ。
クロエ「今よ、ムササビのジュツで鳥になって逃げるのよっ!!」
氷鎖女「できるかーっ!!?」
しかもムササビのジュツというなら、鳥にはならんだろうよ。
周囲で見物している連中の共通感想である。
レイディ・メイディ 31-8
2008.04.15 |Category …レイメイ 31・32話
氷鎖女「女子の形をしたモノは一応、守らないといけないわよ…………ね」
クレス「そ…………そうよ…………ね?」
『エエッ!? 何ぃ!? 何なのッ!??』
隣の席のメイディアが不思議そうにクレスに目を向ける。
メイディア「何事ですか?」
クレス「知るもんか。頭でもぶつけたんじゃないの?」
メイディア「脳に虫でも湧いたのね。可哀想に」
小ばかにして鼻を鳴らす。
授業が終了し、リクの奇っ怪な必殺技・円の動きとやらに捕まらないよう、逃げるようにして(実際に逃げるつもりで)教室を出た氷鎖女は思わず足を止めた。
向かう先にダンラックが居たからだ。
またしつこく声をかけられるのではないかと身構えたが、顔の隠れた、ナツメではない氷鎖女に相手は気づいていない。
すれ違いざま会釈をするが、何事もなく横を過ぎた。
氷鎖女『ふぅ……』
レイディ・メイディ 31-7
2008.04.15 |Category …レイメイ 31・32話
試験が終了し、疲れを取るための試験後休暇も終了。
2度のチーム制試験を通して、組んだ者たちの間に確かな絆が生まれていた。
専攻が別だと知り合いになる機会も少ないが、仲間同士として共に困難を乗り切ることによって親しくなり、友人の友人などともつながって、輪は広がってゆく。
もちろん、逆にチーム制だったために修復不可能な関係にまで落ち込む者もいたが。
とるもとりあえず、一大イベントが終わり、日常が戻ってきた。
レイディ・メイディ 31-6
2008.04.14 |Category …レイメイ 31・32話
クレス「ウソ、そんなバカな!?」
辺りを見回しているとつい先程、医務室から逃げてきたチェリーが足元に擦り寄って来た。
クレス「チェ……チェリー?」
「……………。……ま……まさか……いやそんなハズ……ないよ……ね?」
氷鎖女『……?』
クレス「でもいきなり消えてチェリーが出てきて……まさかとは思うけど、君……」
チェリー「にゃーん?」
クレス「本当にナツメじゃないんだろうねっ!?」
抱き上げて叫ぶ。