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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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真理MARI 著:加門 七海(あらすじ)

「203号室」が面白かったので、また同じ作者のを読んでみました(^_^)
これまた薄くて大きい字の本なので、軽く半日もあれば読み終えてしまう代物。
個人的には、203号室よりこっちのが怖かったwww
粘着質でイタイ女の恐怖です。


▽つづきはこちら

都会で一人暮らしをしていた安芸 亮子(アキ リョウコ)が、彼氏と別れて数年ぶりに実家に戻ってきた。
本屋から出てきたところへ見知らぬ男が声をかけてきた。
自分を知っている風の男に一瞬、警戒したが、向こうが名乗ってきて20年前の記憶にたどり着いた。
キンケシ!!
小学生のクラスメイトで当時、キン肉マンという漫画が人気で、それを模ったケシゴムを熱心に集めていた男の子がいた。
それが声をかけてきた男……森本である。
当時のあだ名「キンケシ」で呼ばれた彼は、もうその呼び方やめてくれよと苦笑い。
懐かしさから今度、他の皆も誘って飲みに行こうという話になり、アドレス交換。

二度ほどクラスメイトを集めた飲み会をして、季節は夏になっていた。
またキンケシこと、森本から飲み会の連絡があり、今度は初参加の梶も来てくれるという。
地味だった彼が、美人モデルと付き合ったが、2ヶ月で別れてしまったらしい。
知り合いのスキャンダルな話題に好奇心を刺激された亮子は、浮かれながら新聞を手に取った。
はらりとその間から、シンプルな封筒が落ちる。
中を開けてみると……

もう、彼には近づかないで。
あなたを良識のある人と信じます。

とだけ。
あて先も差出人も書いていない。
文面から想像できるのは、彼氏を盗られた女性が恋敵に向けた手紙だろうということ。
しかし彼氏と別れて地元に帰ってきたばかりの亮子には、身に覚えがあろうハズもなかった。
人間違いだろうか。とにかく自分には関係ない。
不快な手紙はゴミ箱に放ってすぐに意識から流してしまった。

3度目の飲み会。モデルと付き合ったという梶から、根掘り葉掘り利き出してやろうと集まりに出かけていくと、明らかにクラスメイトではない顔が1つ混ざっていた。
緩くウェーブしたセミロングの明るい髪に柔らかな素材のワンピース。
少女のような雰囲気を纏ったその人は、なんと、森本真理……キンケシの妻だったのである。
クラス会の席に妻同伴というのは野暮な気がしたが、楽しそうだから一緒に連れて行ってと真理がうるさかったもので、と森本は気まずいそぶりを見せた。
亮子が初めましてと名を名乗ると真理は驚いて、「橘アキ」というのではないのですかと聞き返してくる。
亮子の実家は歯科医院を営んでおり、「たちばな歯科医院」という。
この「たちばな」の部分は苗字ではなく、この辺りの旧地名から取ったものだ。
アキの方が苗字なのだと説明しながら、初めて会う相手が自分のことを歯医者の娘だと知っていることに驚いた。
キンケシのやつ、家で何を話しているんだか、と半ば呆れる。
ビールを注いでくれた真理が亮子の顔を覗き込み、「本当に魅力的なホクロね」などと口にする。
亮子の目の下、縦二つ綺麗に並んだホクロを「色っぽいホクロですぐに同級生のアキだとわかった」と彼が言っていたらしい。
うふふ、と美しく微笑む真理に、亮子は意味もなくぎこちないものを感じていた。
この日、初参加だった梶にモデルとの恋の顛末を根掘り葉掘り聞き、皆で酒の肴にした結果、悪ふざけが過ぎて怒らせてしまった。
酒も入っていたためか、ブチ切れて最後は泣き出す始末。
宴会は盛り下がってしまい、結局、最後まで雰囲気は良くならなかった。

家に帰った亮子にどっと疲れが押し寄せてくる。
原因は、泣き出した梶じゃない。キンケシの妻・真理だ。
アニメ声で甘さを含んだ甲高い声。語尾を伸ばして上げる声音が時間が経つほどに頭の中で響いた。
キンケシの隣に座った彼女は手を握ったり、寄り掛かったり、肩を揉むなどスキンシップに余念がない。
視線を向ければ、優越感とも挑発的ともとれる微笑を返してくるのだった。
亮子はこういったタイプの女性とは合わないと昔からの経験でわかっていたので、嫌悪感があるわけではないが、極力、関わらないようにしてきた。
共通点がなく、一緒にいても互いに疲れるだけだからだ。
消化不良に終わった飲み会でのストレスを払拭しようと呑みなおすことにした。
ふと何者かの気配を感じ、心の中に得体の知れない不安が広がる。
一瞬、視野いっぱいに見開かれた人の目が見えた。
跳ね上がる鼓動。
憎悪を孕んだ両眼は、しかしすぐに消え去った。
あれが現実のものであるはずがない。
悪酔いしてしまったようだ。

明けて翌日。
旅行会社に勤めている亮子は、仲の良い職場の同僚と共に昼食をとりに出る。
頼んだスープの中に緩くウェーブのかかった髪の毛が入っていた。
オカルト話の大好きな同僚・吉野は呪いだと囃し立てる。
女の髪は恨みがこもりやすいと台湾の人が言っていた。生霊の象徴だとも。
それが亮子の心を不穏にざわつかせる。
髪の毛が入っていたなんて、単に店が不首尾だっただけだ。
気にすることなんてない。
仕事が終わり、帰宅。
歯科医師である父が建てたマンションの一室を借りて亮子は暮らしていた。
1階の郵便受けから新聞を引き出すと、ふいに大きな黒い虫が飛び出してきた。
Gか!?思わず新聞を取り落とす。
Gとは形が違ったような気がしたが、いずれにしても気持ち悪いことには変わりない。
まさか2匹目はいないだろうが一応、ポストの中を確認。
隣に住む親のポストには「たちばな歯科医院」の表札が紙で貼ってあるのだが、父が作った手書きのそれは紙が長過ぎて亮子のポストにまではみ出している。
ポストを開けるたびにガサガサいうのが不快であったし、何より、自分の名前が隠れてしまうのが困る。
いちいち紙を捲らないとRYOKOの字が見えないのだ。
心の中でそこまで愚痴を並べて、亮子はふと気がついた。

橘アキって名前じゃないの?

森本の妻・真理が言っていた。
彼女は夫が亮子のことをアキと呼ぶ度に微妙に唇を歪めていた。
森本には、父の経営するマンションに入ったことは話したが、部屋番号までは教えていないハズだ。
RYOKOの部分が隠れてAKIしか見えない。
あの手紙の主はひょっとして、彼女ではないかという思いに至った。
アキという苗字を名前と勘違いし、夫が呼び捨てで亮子を呼んでいると勘違いしたのでは。
だとしても、あまりに短絡的だ。
名前で呼んだからといって、即、不倫関係を疑ったりするものだろうか。
それを言ったら、クラスのほとんどの女性に疑惑を向けなければならなくなる。
考え過ぎだ。あの手紙は何かの間違いだと思考を振り払った。

それらを封切りに、亮子の身の回りでおかしなことが起こり始める。
日に何十回もの非通知の着信、繰り返し食べ物に紛れ込む、緩くウェーブのかかった茶色い髪……
生霊。
同僚の吉野が言った言葉が脳裏をよぎる。
いや、そんなハズはない。生霊なんて、存在するはずがない。
強く否定し、亮子は気分を変えようと町の散策に乗り出す。
大学を出てから地元を離れてだいぶ経つ。
戻ってきた地元の町並みの変化を楽しみながら、公園に行き着く。
偶然にもそこには、森本の姿が。
挨拶を交わすと焦ったように真理が走ってきて、間に割り込み、夫のシャツを握って笑顔を作る。
しかし目は笑っておらず、キツイ視線をぶつけてきていた。
そんな彼女の髪を見て、亮子は思った。
似ている。
食事に混入されていた髪と。
真理は会話の流れと関係なしに、この公園まで歩いてくるなんて。結構、遠いでしょうと口にして、亮子は後をつけてきたのではないかと疑われているのだと気づく。
逆にウチに来たことがあるのかと尋ねると真理は行ったことはないけど、場所は知っていると否定する。
幼い子供がやってきて、真理にウチの子だと紹介される。
可愛いと素直な感想を漏らすと真理は明らかな憎悪と奇妙な優越感をこめた瞳でしやがんで子供の背に合わせていた亮子を見下ろしてくる。

そうよ、いいでしょう。これが私の家族よ。
貴女なんか入る隙間はどこにもないの。入ってこないで。

そう訴えてくるような視線だった。
亮子は思った。
これは実は自分が彼女を羨んでいて、真理を疑い憎み、疑心暗鬼に陥っているのだろうか。
いや、違う。妬ましいんじゃない。怖いのだ、この女が。
自分の中に燻っていた思いに気づいてサッと目をそらすとこんどこそ、真理は勝ち誇った笑みを浮かべ、夫の腕に絡みついた。
当のキンケシ……森本は、そんな空気にまったく気づかずに、また飲もう。連絡すると言い残し、のどが渇いたという子供の訴えに応じて公園から出て行く。
真理の敵意を確信した亮子は、怨まれるような覚えなどないととめどなく考えながら帰宅。
ドアを開けようとして、一瞬だけ甘い香りが鼻をついて動きを止める。
僅かな間に消えてしまったこの匂いは、先ほどまで会っていた女がつけていた香水と酷似していた。
翌朝、会社の行きがけにポストを覗くと匿名の手紙がまた入っていた。
剃刀の刃でも入っていたらどうしようなどと不安に思いつつ、そのまま開けずに出社し、昼休みになったら吉野に相談することにした。
手紙には、こうあった。

もう会わないで。
電話しないで。
あなたには良識がないのですか。
私たちの家庭を壊さないで。

何が良識だ。良識がないのはお前のほうだ。
相変わらず続く、出るとすぐ切れてしまういたずら電話。勘違いも甚だしい内容の手紙。
心の底から怒りが湧いてきた。
森本は本当に浮気をしているのではないかと相談を受けた吉野が鋭く指摘。
何かしら、根拠があって真理は嫌疑をかけてきている。
つまり、亮子はその浮気相手と人違いされたのではないか、ということだ。
なんという迷惑!
それから吉野は、あるナイスな作戦を亮子に提示してくれた。

吉野が考えてくれた作戦を実行すべく、亮子は次の飲み会にも真理を誘っておいでと森本に告げた。
(※長いので2回に分けます)

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