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真理MARI 著:加門 七海(あらすじ+感想)
2013.01.15 |Category …映画・小説・漫画等の紹介・感想
当日、夫について現れた真理は、亮子がわざわざ誘ったことを知ってかいつもより顔が白い。
亮子は、勘違い女に付け回されてて、心当たりがないのに困っている。どう対処したらいいだろうかと皆に相談という形で例の手紙を見せる。
……これが吉野が耳打ちしてくれた作戦だった。
皆が口々に見知らぬ「勘違い女」を非難する中、亮子は真理にどうしたらいいかと水を向ける。
真理は動揺を隠して、でも火のないところに煙は立たないのでは?と。
亮子は今までの経緯を説明して、携帯電話の非通知履歴を皆に見せる。
何も知らない森本も犯人を相当、馬鹿な奴と嘲笑。
クラスメイトたちも警察に言って正体を突き止めてもらったほうがいいと言い出す。
彼女が飲み物にむせ返ってしまったのを見て、そろそろお仕置きは十分だろうと引っ込めることにした。
これで嫌がらせもやむといいのだが。
トイレに行ってとりあえずの勝利に溜飲を下げる。
トイレの個室から出ようとしたとき、誰かが入ってきた気配がした。
気にせずドアを開けようとしたとき、何かが体当たりしたような物凄い音が鳴って竦み上がる。
瞬間的なパニックに陥った耳に、確かに女の声が届いた。
「死ねばいいのに」
亮子は、勘違い女に付け回されてて、心当たりがないのに困っている。どう対処したらいいだろうかと皆に相談という形で例の手紙を見せる。
……これが吉野が耳打ちしてくれた作戦だった。
皆が口々に見知らぬ「勘違い女」を非難する中、亮子は真理にどうしたらいいかと水を向ける。
真理は動揺を隠して、でも火のないところに煙は立たないのでは?と。
亮子は今までの経緯を説明して、携帯電話の非通知履歴を皆に見せる。
何も知らない森本も犯人を相当、馬鹿な奴と嘲笑。
クラスメイトたちも警察に言って正体を突き止めてもらったほうがいいと言い出す。
彼女が飲み物にむせ返ってしまったのを見て、そろそろお仕置きは十分だろうと引っ込めることにした。
これで嫌がらせもやむといいのだが。
トイレに行ってとりあえずの勝利に溜飲を下げる。
トイレの個室から出ようとしたとき、誰かが入ってきた気配がした。
気にせずドアを開けようとしたとき、何かが体当たりしたような物凄い音が鳴って竦み上がる。
瞬間的なパニックに陥った耳に、確かに女の声が届いた。
「死ねばいいのに」
▽つづきはこちら
気後れしたが、恐怖を怒りに転じてドアを開け放つ。
……が。
そこには誰もいなかった。
席に戻ると真理は夫の肩にもたれて目を閉じていた。
疲れたみたいで、コトンと寝てしまったと森本は説明し、結局、トイレに来たかどうかは聞けずじまい。
その日から、嫌がらせの電話は止んだ。
だが、それは正体がばれたからに過ぎず、亮子への疑いが晴れたことにはならなかった。
勘違いだと主張したが、容疑者本人が言っても説得力がない。
けれど嫌がらせが止んだならそれでいいじゃないという友人の言葉を受けて、忘れるように努める。
夜、ベッドに入ると指先に痛みを感じて見てみると黒い虫がいた。
その虫に触覚はなかったが、代わりに髪があった。
緩くウェーブのかかった茶色い髪。
虫が羽ばたいて顔をめがけて飛んでくる。
目の下に強烈な痛みが走り、悶絶。
虫の顔はあの女だった。
あの女が怒っている!
誤解は解けぬまま、一方的に侮辱されたと思い込んでいる。
どうしよう。
いいや、そんなことがあるわけがない。
ストレスでそう思ってしまっただけだ。
痛みがあるのだから、虫に刺されたのは現実にしても人の顔がついているわけがない。
言い聞かせて平常心を取り戻そうとするが、ふいに襲われたときの記憶が甦る。
迫ってくるとき、大きく口を開けて叫んでいるようだった。
死ねばいいのよぉっ!!
痛みがあった場所は、翌日に腫上がり、目の下にある縦に並んだほくろ二つを覆い隠していた。
鏡でそれを確認していた亮子の脳裏を小さな記憶が掠めた。
「本当に、魅力的なホクロよね」
真理は笑って言っていた。
その後もソファで横になっていると女の顔が覗き込んできたり、パソコン画面がおかしくなるやいなや、女が睨み付けてくる両眼が画面いっぱいに映し出されたり、「電話しないで」という紙くずが部屋に落ちていたり……次々と起こる怪奇現象。
だが、確かめようとする間にそれらは消え去って、次第に現実だったのか自分のストレスから来る幻覚だったのかわからなくなってくる。
もう我慢の限界だ!
爆発寸前のそのとき、町で現実の真理を見つける。
呼び止めて詰め寄ると彼女は泣きながらこちらを睨み付け、剛君と外泊したでしょう!?と逆に詰問される。
残業だの、同僚と飲みに行くだのと明け方まで帰らない。
電源は切ってある。
会社に確認したら、残業なんてなかったという。
まくし立てて泣く真理に毒気を抜かれる亮子。
それを森本には言ったのかと尋ねるが、真理は走り去ってしまう。
遠くなる背中に向けて、私じゃないと必死に弁明するも、彼女は振り向かない。
家に戻って警戒しながら新聞を引き抜く。
手紙は挟まっていなかったが、代わりに新聞に赤い字でデカデカと「死ね」の文字。
お盆に入った頃、ソファで横になっていたら、またもあの虫が襲ってきた。
どれもこれも幻覚に決まっている。
ストレスで疲弊して変なモノを見るのだ。
生霊なんているわけがない。
それでも迫ってくる虫を無視する度胸はない。
追い払おうと振り回した手が虫を捕らえた。
そのままぎゅっと力を入れると中で潰れた感触が伝わった。
恐る恐る手を開くが、もちろん、そこには何もない。
けれど、己の不安が作り出した幻影をやっつけた。
今度こそ恐怖に打ち勝ったのだと確信する。
けれどその喜びとは裏腹に、亮子の体調はどんどん悪くなっていった。
自分の周りの空気が淀んでいる気がする。
夜も昼も眠れない日々が続き、睡眠導入剤を求めてドラッグストアへ足を運ぶ。
薬剤師に相談し、薬を買ったところで梶に会った。
梶はあの晩、キレてしまって大人気なかったと謝罪してきた。
亮子も皆で弄り過ぎて悪かったと詫びたが、彼が怒り出した原因はそこではなかった。
森本が甲斐性なしだと笑ったことに対してだったのだ。
確かに自分は不甲斐ないかもしれないが、奥さんと浮気をしている相手を目の前に平然としている奴に言われたくない。
そう語る梶の言葉に亮子は絶句した。
なんと、森本はあの場に参加していたクラスメイト斉藤と不倫関係にあったのだ。
今年の4月に二人がホテルに入るところを目撃したという。
亮子が地元に戻ってきたのは、今年の春だ。
森本と斉藤が交際を始めたのがその頃だとすると時期が重なる。
それで真理は自分に疑いを向けたのかもしれないと亮子は思った。
さらに梶は続けて、奥さんが自殺したのは森本のせいだと憤り、同情を寄せた。
真理は真昼間に首を吊って自殺したらしい。
衝撃を受ける亮子。
自殺したのは4日前だと言う。
亮子が彼女の顔をした無視を潰したのは、4日前の昼ではなかったか。
真理が死んだ。恨む相手を間違えたまま、首を吊って。
梶と別れた亮子はいいようのない恐怖と不安に押しつぶされそうになっていた・
死んでしまえばもう何があるわけでもない。
あの虫だって、実際はいないものだ。
自分の不安が作り出した幻で、潰したのは自分の葛藤に打ち勝った象徴であるはずだった。
それなのにとてつもなく、怖い。
歩くと後ろで「うふふ」と彼女のあの笑い声が聞こえる気がする。
それから本当の恐怖が始まった。
突然、消える電気。汚水、泥に混ざった髪の毛が床にべっとりと張り付いている。
咽に異物感と息苦しさを感じて嘔吐したら、あの髪の毛が吐しゃ物の中に1本……
ここにいてはダメだ。
亮子は部屋を飛び出し、都内のホテルに逃げ込むことにした。
突然の留守を心配されぬよう、母に連絡を入れる。
あなたのところに行っら、誰も出ないから心配した。なんてホテルに泊まっているの? と母に聞かれ、場所を教える。
すると「そう。そこにいるの」と言って通話が切れた。
今のは果たして、母だったろうか?
荷物を引っつかんで、借りた部屋から逃げ出そうとした刹那、呼び鈴が鳴った。
呼び鈴は鳴り続けるが、覗き穴から見ても誰もいない。
誤解よ、わかって。斉藤加奈子なの、私じゃない!
叫ぶと呼び鈴は止まった。
解ってくれたのかと一瞬思ったが、そうではなかった。
ドアの隙間から白い手が伸びてくる。
甘い香水の香りと共に。
忍び込んでくる手を何度も上から踏みつけた。
結局、どこに逃げても無駄だと悟った亮子はホテルに宿泊したあと自宅へ戻った。
どうせ同じなら自宅の方が落ち着けるというものだ。
どこでもかしこでもあの女の気配がする。
疲労は溜まり、鏡を見ればどんどん老け込んでいく自分がいる。
見るからに顔色が悪いのに、家族も会社の人たちも誰も指摘しない。
それと気になることがあった。
頼りにしている友人・吉野と何故か会えないのだ。
最初は間が悪く、すれ違いを起していたのかと思っていたが、他の同僚に聞くとさっきまで貴女としゃべっていたじゃないと言われる。
おかしい。今日はまだ一度も吉野の顔を見ていないはずなのだ。
思い返そうとすればするほど、記憶が混乱して何が本当なのかわからなくなる。
■□■
……とこんなカンジで、現実と悪夢の境界線が曖昧になって行きます。
203号室と似たカンジのラストですね。
ネタバレすると、亮子の身体は完全に真理に乗っ取られてしまいます。
吉野と話していたと周りは証言するのに自分は会った覚えがない、明らかにやつれてきているのに誰も気づかないなど、入れ替わったり元に戻ったりしているんだと思います。
そうは書いていないけど、読んだ限りではそんなカンジ。
親友の吉野がニコニコ話をしていて、亮子が泣いているのに全く意に介さないようにしゃべり続けるところなんかはほんと、亮子が可哀想です。
ここでもたぶん、入れ替わっているので、吉野から見た「亮子」は泣いてないし顔色も悪くないということになっているのだと思われる。
ラストは亮子が今まで着なかったピンクのふわふわ系の服を着て、しゃべり方も甘ったるく、甘い香水をつけて、うふふってなってて、吉野が「!?∑( ̄□ ̄;)」ってなっちゃうんですよね。
亮子になった真理は窓に写る顔にある、目の下の縦に並んだほくろをうっとり見つめて、剛くんに早くこれを見せたい。“真理”はもういらない。“真理”じゃダメだったんだもん。あんな女いらない。ね、剛くん、私が好きでしょう?……ようなことを言って終わるんですが、これまた繰り返されるってことですよね。
森本は亮子が好きなわけじゃないんだから、亮子になった真理がすり寄っても、結局、斉藤のところへ行くわけで……それに気がついたら、今度は斉藤が入れ替わられて、でも中身が真理なワケだから、いい加減、森本もおかしいって気がついてきっと気が狂って死んじゃうんだ~!
とかその後を想像してしまいました。
子供が一番可哀想(;´∀`) 真理は母ではなく、女だったってことだな。
妖絵巻を読んでくれていた人たちには、敦子出た!ってカンジかも(笑)
あ、違うか。
呪怨のカヤコのが敦子と近いか。
203号室よりこっちのがキモ怖だったなー。身近に感じて。
アニメ声、「うふふ」って自分で言いながら笑うとか、「やめてよねえ」「斉藤さんったら、男らしいぃ」っていうしゃべり方とか……真理がもう……我がすぐ辞めた職場のあの人にしか思えなくて((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
沢山、場面をはしょっちゃってますけど、亮子の恐怖がひしひし伝わってくるんですよ。
渋谷怪談と違って、一人がずっと追われて恐怖と戦っているのですが、ワンパターンになってない。
無駄ページがないので、どこも重要っぽくて、本自体はページ数少ないのにあらすじがこんなに長くなってもーた。
203とオチも主人公の性格も似てますが、またこのパターンかよとは思いませんでした。
楽しく一気に読めちゃいました。
加門さん、やるなぁ。2冊連続で我的ヒットでした。
他の人が読んだらどうかわかりませんが。
気に入ったので、次もこの作家の本をなんか買ってみます(^-^)
虫を殺したら、同じ頃に真理が首吊って死んでいたとか怖かったな。
人違いで恨まれたまま相手が死んだら、例え生霊や死霊とか出て来なくても、怖いと思う。
心にわだかまって消えなくなっちゃうよ~。゚(゚´Д`゚)゚。
しかもああいう被害者意識が強くて、思い込みの激しい人って実際にいるし、そういう人って感情的で話し合いにもならない場合が多い。
よく聞く、騒音オバサンとかも似たようなタイプだよね、きっと。
あとお母さんに電話して、電話の向こうにいたのが本当の母だったのか霊だったのか……ってくだりもこえぇー!!って思った。
怖い話ではよく登場するパターンだけど、これは色褪せないぜ!って思った(笑)
書き手の技量にもよるんだろうけど。
中に出てきた、「死ねばいいのに」も、渋谷怪談の「死ねばよかったのに」とは似て非なるモノだったしなwww
前者は真理のは心がこもってた(笑)けど、後者はとってつけた感が満載だったからなー。
キャラでいうとちょい役だけど、梶くん優しくていいヤツでした。
森本の浮気と無神経さに怒り、自分はこの世に必要ないと思って命を絶ったんだろうなと死んだ真理の気持ちを思いやって、真理の死を知って絶句した亮子を気遣って「安芸が落ち込むことはない。ごめんな、変な話聞かせて」と言葉をかけてくれる。
梶クン、なんてイイヤツ!!
相談に乗ってくれていた吉野が頭イイ!って感心したのは、いたずら電話のかかってくる時間帯や土日にはかかってこないところから、いたずら電話の主が専業主婦でしかも家庭にベッタリ依存したタイプというのを割り出したことです。
吉野もいいヤツでした。うんうん。
この物語は真理タイプの女にありがちな心理を書く一方で、主人公である亮子の心の闇やお人好しなところ、弱い部分なども巧みに表現しています。
真理みたいな女のことを別に毛嫌いしているわけじゃないと始めの方では思っているのですが、途中で本当は嫌いであったことに気付いたり、手紙を皆に見せて仕返しして、ザマーミロって意地悪く喜んだことを振り返って反省してみたり。
誰でもきっとこんなカンジだよねっていうのが亮子というキャラでした。
もう、自分とあの人がモデルか?!って思えるほどだった。
ここ最近、紹介した本はまだウチにあるので、手渡しできる範囲の友人なら貸せますぜ!
オチまで話しちゃったから、もう読もうって気、起きないかもだけど(爆)
一番のオススメは「ソックリさん」!!!
読んでソックリさんについて共に語らおうぞ!!!ハアハア!!
寒い気持ちになれるから、夏向けかもしれないけどね☆
(※怖くてゾッとするという寒さにあらず)
12月から1月にかけて、ホラー系をヒット~駄作(失礼)と読み漁って、だいたいパターンが分類できました、自分なりに\(^o^)/
これらを取り入れて、実験的に何か書きたいなっと。
渋谷怪談の二の舞になりそうな予感も満載だがwwww
どういう系にするとかなんとなーくおぼろげに案が浮かんでいるのだけど、キャラが作れない;
これっていうキャラが思いつかなくて、設定すらできない(>_<)
もう使い回しでいいかな(;´∀`)
それか新たに妖絵巻として、その中の一編として書くか。
ああーっ! 創作したいっ!!
出来がどうであれ、携わっている間は苦しいけど楽しいのです!!
病気になってから、創作っていう創作、ほとんどしてない!!
アリスはソッコーで投げちゃったし。
あのブログは使わないから、閉鎖しよっと。
PR
●Thanks Comments
コレも面白かったよ‼
あたり続きだね!
やっぱり登場人物がしっかり描けていると、多少お話が強引な方向にいったとしても、全然納得して読めちゃうよね。
キンケシ…って、めっちゃ同世代じゃないですか(笑)
真理は生霊から、死霊になっちゃうとは…!
結局、亮子でも駄目で斉藤さんに乗り移ったら、亮子が解放してもらえると良いな…。
そして森本は呪い殺されてタヒね!とか思う(笑)
Re:コレも面白かったよ‼
小学生でキンケシwww
マジで同世代だよね(笑)
作者は50代だったと思うけど。
森本が一番悪い!(`・ω・)c彡☆))Д´)
真理はダメだけど、可哀想でもあるしね。
「真理」ですら、実は取り憑かれていた被害者だったりしないよね、と勘ぐってしまう;
マジで同世代だよね(笑)
作者は50代だったと思うけど。
森本が一番悪い!(`・ω・)c彡☆))Д´)
真理はダメだけど、可哀想でもあるしね。
「真理」ですら、実は取り憑かれていた被害者だったりしないよね、と勘ぐってしまう;