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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 29-4

 そんな彼をナツメの方では、怪我の小石を取り除くくらいでそこまでビビらなくてもいいのにと半ば呆れていた。

 敵が出てきてもピンチに陥っても動じないクレスがこんな傷でどうしてここまで恐れるのか。

 問題は傷よりも、自分の作った殺人人形が彼を殺しかけた事実とトラウマ、そして何より無表情で幽霊じみた本人の態度が恐ろしげでいけないのだが、氷鎖女がそんな理由を知る由もない。

 自分が殺人人形に似て、幽霊みたいだと思われているなんて思いもよらないのだから。

 ちょっと、傷に詰まった小石や土をかき出そうとしただけ……のつもりだった

 だが結局、頭を抱えて今にも気を失いそうな情けない姿のクレスに同情し、仕方なく針を使うのをあきらめた。

 さりとて、あれだけ傷に小石や土が詰まっていたら、放っておくワケにもいかない。

放っておいて破傷風になられても困る。

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レイディ・メイディ 29-3

 少し遅れて、ダレスの声。

 

ダレス「行くなら早く行こうぜー」

 

 すでにもっと先に下ってしまっているようでやや声が遠い。

 動いてしまえばついてくるしかないと踏んだのだろう。

 優勝と騒ぎ立てるメイディアやクレスに影響されたのか、今までにない快調な進みで欲が出たのか、ダレスも妙にハリキッてしまっている。

 こういうが一番注意すべきときだというのに。

 

フェイト「……ちっ。そこで待ってろ、一人で行くな」

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レイディ・メイディ 29-2

 ゴールも目前だというその日は朝から濃い霧に覆われていた。

 メイディアとクレス、そしてダレスは例によって例のごとく、それでも進むのを希望する。

 フェイトは反対し、自己主張の希薄なナツメは何も言わなかった。

 クロエだけは霧の中を進むのを反対してくれるかと思いきや、

 

クロエ「霧の中をさまよう恋人二人……」

 

 クロエが突然、ウットリと目を輝かせた。

 

フェイト「……クロエ?」

クロエ「ああ、何てロマンチック」

フェイト「おい、クロエ。正気か? 恋人二人ってどこにそんなのがいるんだ」

クロエ「ちょっと! フェイトは黙っててよ! 今、ちょうどいいところなんだからっ!」

フェイト「いいところって……」

 

 いきなり叱られて、閉口するフェイト。

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レイディ・メイディ 第29話

第29話:乱戦

……そんなこんなで、表面化しない問題は細々とあったものの、今度の試験は至って順調なG班だ。

 むしろ、女の子の前で用を足すわけにはいかない“氷鎖女先生”以外は誰も困っていない。

 メイディアのワガママがなくなった分、進む早さは前回の比ではなかった。

 もはやゴールは目の前だと全員が思い始めていた。

 体力のなさが目立って後半戦は足手まといになってしまうのが白薔薇・黒薔薇候補生の常だったが、ここに配属されている白薔薇専攻のクロエは騎士の家出身で子供のころから鍛えられていたし、黒薔薇専攻のメイディアとクレスはそこにいる氷鎖女の教え子だ。

 氷鎖女クラスは魔術師養成の常識を覆す授業を展開することで知られている。

 普通ならば魔法の知識をどんどん覚えて身につけてゆくというのに、氷鎖女クラスときたら、なんと早朝マラソンから始まるのだ。

 マラソンなどで体力作りを基本とするのは剣士である赤青であって、白黒は机に向かってひたすらものを覚える。

それが現在の魔法界の定石。

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