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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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閉ざす、扉。 3

 鎮が顔を隠そうとすると牢の間から、棒で顔をどつかれた。

 皆、怖いのに見たがって、近づこうとする。

近づいてもっと見ようと迫り来る。

 言葉は分からないが、笑い声の残酷な響きと指さしで良くないことを言われているんだということだけは理解できた。

 毎日、多くの見物人の顔、顔、顔。

 ぐるぐる目が回って、気分が悪くなって、耳の中でうわんうわんとうるさい虫の羽音のようなものがいつまでも音を立てていた

……おかしくなってしまいそうだった。

 鎮が泣いたり、叩かれて鼻血を噴いたり、恐怖のあまりに粗相なんかをすると客たちは、もっと喜んだ。

 だからもう反応しないようにした。

 何も考えず、何も思わず、格子の間から見える空に意識を飛ば

 心を殺す、あるいは閉ざすというやつだ。

そうでもしていなければ、この状況に耐えてゆけなかったから。

 醜い顔を大衆にさらして、隠す努力も抵抗も一切をやめた。

何をしても喜ばすだけだとわかったから。

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閉ざす、扉。 2

 両の手の指では全然足りないくらいの出会いと別れを繰り返して、までたどりついてみたらば、何艘かの船が着けてあった。

 沢山の積み荷を降ろしたり運び込んだりしている。

 その前で圧倒されて立ち尽くしてしまった

 だって船は、村の人間が全員乗れてしまうのではないかという大きさだったから

 尖った先端には羽の生えた裸の女を象った作り物がくっついている。

ありゃなんのためだ?

 中心の柱にはどのくらい継ぎ合わせればあれだけの広さになるのか、白い布が凧のように張られている。

 なるほど、あれで風を受けてその力を利用するんだな。頭がいいや。

 乗っているのはこれまた見たこともないへんてこな着物を着た、体つきのよい男たちだ。

 目が青かったり髪が赤茶けていたり黄金色の奴もいて、少し薄気味悪かった。

 それにしても息を呑むほどの豪華な船だ。

 都のものは何もかも輝いていたというから、さてはこれは都の船に違いない。

 そう考え違いをした船にまぎれて乗り込んでしまったんだ

 これが都どころか、遠い遠い海の果ての国へ戻る船だと知りもせずに。

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レイメイ番外-鎮編 閉ざす、扉。 1

 

差し伸べられた手は眺めているのがいい。

決して。

決して、その手を取ってはいけない。

差し伸べてくれた事実。

それだけで充分だと思うことにしよう。

手は、求めたら最後、きっと消えてなくなってしまうから。

穴の底から上を見上げて、差し伸べられる手の温度を夢に感じていればいい。

 

薔薇の騎士団A

レイディ・メイディ番外編

閉ざす、扉。

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