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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 49-2

夫人「……あの子は、恋を一度でも経験できたのでしょうか」

ばあや「ええ、きっと」

夫人「人を想う幸せとそのために起こる胸の痛みも一度くらいは知っていて欲しい」

 

 夫人は遠い在りし日のことを思い出しているようだった。

 自分が娘と同じくらいの頃に。

 嫁ぐ前の日に。

 自分よりも身分の低い少年と恋に落ちてかけおちをしたこと。

 ただの1日で見つかって引き離されてしまったけれど、あの愛は永遠だったと今も信じている。

 世界中のいかな宝石よりもなお輝きを放つ、清らかな恋。

 何があったと言えば、一度きり、唇に軽く触れただけだった。

 けれど、だからこそ色あせない。

 そうして彼女は親の決めた縁談に従ってシャトー家の花嫁となり、それまで会ったこともなかった男性との間に娘を一人もうけた。

 残された恋の相手はかけおちのあと、ほどなくして若い命を神に捧げた。

 元から病弱な身体だったのである。

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レイディ・メイディ 第49話

第49話:またまたまたまた恋の予感?!

 所変わって、しばらく前のシャトー伯爵家。

 16になった一人娘の連れ合いとなる公爵から、肖像画が届いた。

 軍服に身を包んだ肉……ではなく、公爵の絵だ。

 

伯爵「公爵様の肖像画か。これはロビーに飾って家宝にせねばなるまいな。我がシャトー家の栄光の御印だ。まさか我が家に白羽の矢が当たるとは」

 

 シャトー伯爵は満足げに眺めている。

 しかし伯爵夫人の表情は曇りがちだ。

 

伯爵「どうしたね?」

夫人「この公爵様のなんと醜いこと、醜いこと」

 

 細い眉を寄せて、扇で顔を被う。

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